3.1(金)【学びのツアー】ごみをごみにしない社会を創る 石坂産業
共に創る
渋沢栄一ひとづくりカレッジ運営メンバー(埼玉県・深谷市、東京海上日動火災保険株式会社、株式会社埼玉新聞社、株式会社チエノワ)は、渋沢栄一ひとづくりフォーラム 2023 にご登壇いただいた「石坂産業株式会社」を訪問しました。
あらゆるごみを資源として循環させ、「ごみ」という概念そのものをなくそうと日々挑戦を続けている石坂産業。深刻な風評被害にも負けず、ゴミ山だった里山を復活させ今では人々が集う場所へと進化させました。
石坂産業を深堀りすべく、今回の体験では年間 6 万人以上が視察に来る廃棄物処理施設やゴミで溢れていた山を生き物が住む山に復活させた三富今昔村を見学。「地域づくりとひとづくり」を学びました!
総工費 40 億円を投じた廃棄物処理施設「全天候型プラント」を見学
廃棄物処理施設は一般的にNIMBY(ニンビー:Not In My Back Yard=我が家の裏庭には置かないで)と呼ばれ、敬遠されていました。
しかし、廃棄物処理施設は私たちの生活に欠かせないものです。「地域に愛される会社」となるためには、地域の皆さんに包み隠さず徹底的な「見せる化」が必要でした。そこで 40 億円を投じて全天候型プラントを 2008 年に設立しました。
壁一面の緑化壁
施設には壁一面に緑が張り巡らされた「緑化壁」があります。地域住民に信頼されるための一つの取り組みです。緑化壁はスギの木約 25 本分のCO2を吸収し -4.9 ℃の気温上昇を抑えられ、防音効果も期待できます。また機械音にも配慮をし、「施設で働く社員にも快適に過ごしてもらいたい」との想いが込められていました。
分かりやすい解説パネル
各エリアごとに解説したパネルや石坂産業の思いなどを見える化。従業員や地域住民だけでなく、施設に足を運んでくれた見学者のためにもわかりやすい工夫が施されていました。
電気で動く重機
一部の重機は電気で動きます。電気を使用することでCO2削減に繋がり、廃棄物の粉塵を含んだ排気ガスが出ないため従業員にとって働きやすい環境です。
また重機で電気を使う分、天井に採光窓を設置して節電をしています。細かいところまで節電をし、産業廃棄物を焼却するのではなく徹底的に“分別分級”することで 90 %以上のリサイクルに成功しています。
見学者からのメッセージで埋め尽くされた「Green Action ストリート」
「Green Action ストリート」とは、施設見学者が自由にメッセージを書き込めるエリアです。壁には、施設で働く従業員やこれまでに見学に来た方からのメッセージで埋め尽くされていました。
私たちも「ゴミの価値観が変わった!」など施設見学を終えてそれぞれが感じたメッセージを書きました。英語やインドネシア語などの外国語で記されたメッセージも多く寄せられていました。
かつては不法投棄が繰り返されるゴミの里山だった三富今昔村(さんとめこんじゃくむら)
埼玉県・三芳町にある三富今昔村。以前はゴミで埋め尽くされ地元の方から見捨てられていましたが、石坂産業の方々の手により少しずつ改善し現在では自然豊かな里山を取り戻すことができました。その里山では生息する植物や生き物を知るためのガイドウォークや「石坂オーガニックファーム」での食育体験、里山の暮らしを体験しながら学ぶ里山体験など多彩なプログラムが開催されています。
里山内は五感で楽しむ「風のヤマ」「育のヤマ」「香のヤマ」「陽のヤマ」「集のヤマ」「結のヤマ」「伝のヤマ」「光のヤマ」の 8 つのエリアに分かれています。
今回は人々が集い語らい笑顔があふれる場所「集のヤマ」、人と人を結び縁をつなぐ場所「結のヤマ」、一年を通して花の香りを感じる場所「香のヤマ」を訪れました。
「集のヤマ」にあるミニSLやまゆり鉄道
一周約 6 分のミニSLは普段は子どもたちで賑わっていますが、この日の乗客の年齢は少々高めでした(笑)子どもも大人も楽しみながら豊かな自然を堪能できるやまゆり鉄道の乗車料は、里山の整備・保全費の一部として利用されています。
「結のヤマ」にあるしあわせ神社
その名のとおり人と人を結び、縁を繋ぐ場所です。アスレチックやツリーハウスなどもこのエリアにあり、自然の中で思い切り体を動かす子どもたちをしあわせ神社の神様が見守っています。
「香のヤマ」にある冬季限定 焚き火とコーヒーで癒やされるファイヤーサークル
焚き火のパチパチという音と直火で温めたコーヒーは、寒い体を心の底から温めてリラックス効果抜群です!みんなで火を囲みながら今回の見学を通して感じたことやこれからの渋沢栄一ひとづくりカレッジについての展望を語り合いました。
編集後記
SDGsの目標に「つくる責任、つかう責任」という項目がありますが、その意識が大切だと感じた一日でした。実際に廃棄物処理施設で働いている皆さんを見て、使う時に便利で画期的なものでも捨てた先まで考えなければいけないと心の底から思いました。
また廃棄物処理施設や里山を案内していただいた中村さんをはじめ、社員の皆さんのイキイキとした姿や本気で世界からごみをなくそうとしている姿勢にとても感銘を受けました。
ごみをごみにしない「Zero Waste Design」という石坂産業のビジョン、「 3 K(きつい・汚い・危険)職場」のイメージから「社員が誇れる職場へ」という石坂社長の想いがたくさん詰まったツアーでした。
石坂産業や見学ツアー、三富今昔村から「ゴミ」の考え方や地域住民との共存、社員教育や自然への思いなど多岐にわたり学びや気づきがあります。きっと自社に落としこめるヒントが得られることでしょう。ぜひ、興味が湧いた方は参加してみてください!
石坂産業の施設見学についてはこちら
今後、他のコンテンツでも石坂産業の記事を上げていきますので乞うご期待!!
石坂産業株式会社とは?
1967 年、石坂 好男 氏が東京都・練馬区で土砂処理業を開業した後、埼玉県三芳町へ移り、産業廃棄物中間処理業へと事業を拡大させました。
1999 年埼玉県・所沢市周辺がダイオキシンで汚染されているという報道が流れました。「石坂産業がダイオキシンの発生源だ」と根も葉もない噂が飛び交い、地元住民からの反対運動が起こり、環境汚染の象徴として矢面に立たされました。
そんな中、2002 年に経営方針を一新し、地域に愛される会社になるための変革を推進。40 億円を投資して建設した全天候型プラントには見学通路を設け公開し、現在では 50 カ国以上から年間 6 万人以上が視察に訪れる世界に類を見ないプラントに発展しました。
「Zero Waste Designe」「ごみをごみにしない社会」「循環型社会の実現」を目指し、産業廃棄物処理業にとどまらない新たな挑戦を続けています。